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地域の方がたと一緒に学ぶ

今日(21日)の午後は、職員研修の時間とした。夏の日本外来小児科学会でおしま地域療育センター所長の高橋先生の講演をお聞きした。テーマは「むずかしい子ども、気になる子どもが教えてくれること」。大変まとまりのある話で、わかりやすく、かつ日々の診療に生かせる内容だったので、ぜひうちのクリニックの職員研修の場でお話してもらいたいとお願いしたところ、快諾をいただいた。それが今回の職員研修と言う形で実現したものだ。

講演たかはし1 

この話を私たちだけで聞くのはもったいないと、町内の保健、保育、学校関係に呼びかけたところ、平日の午後にもかかわらず、さまざまな分野から18名もの方に参加してもらえた。

kouen

話はある架空の症例から始まる。

時に集団になじめない子どもがいる。気に入らないとゲームから外れてしまう。授業中に勝手に絵を描いている。自分の好きな行事の時以外学校に行かないでゲームばかりしている・・・甘やかされているとか自己中心的だとかとつい考えてしまう。

では、私たちはなぜルールやマナーを守っているのか?それは、「ルールやマナーを守ることが、結局は(総合的に、長い目で見ると)自分にとってプラスになるということを知っている」からだ。

では、なぜ、「むずかしい子ども」は「自己中心的な」行動をとるのか?それは、「関連する情報をうまく収集することができない、情報を関連付けて統合することができない」(そのために、ルールを守ることが、総合的に、長い目で見ると自分にとってプラスになることが把握できない)という脳機能の特性(中枢性統合の弱さ)による。

このあたりの理路整然とした筋の通った話が魅力的だ。

不適応状態の子どもは、「好きなことを好きなように好きなだけ」できないとうまく過ごせないことが多い。そこで、将来に向けて、「自分のルール」ではなく、「外のルール」で行動できるようになることが一つの目標になる。そのための具体的な援助について語ってくれる。

最後に、「本人の働きかけ以上に周囲の理解が重要」ということを一つのデータで示した。そして、まとめにはいる。

「生きる力を育てるために、その人の脳タイプを考え、その脳タイプに合った子育て、教育、生活環境を作っていくことで、その子なりに学んでいってもらい、そこから人やコミュニケーションに対する信頼感・安心感、生きる意欲・適切な自己評価、社会生活に必要な常識・技術を身につけていってもらう、それが私たちの目指すべき方向なのだ。」

話の概略は以上のようであった(文責は私にある)。濃い内容の話であったが、途中途中に身近な例を挙げて説明してくれるので、とてもわかりやすかった。私たちが、医療の現場で、あるいは子育てや保育、教育、保健・福祉の現場で、数多く出会う子どもたちとのつきあい方の基本を学ぶことができたと思う。

それを地域の関係者の方々と一緒に、同じ空間で学べたことが大きい。考え方を共有し、援助の方向性を一致させることで、関係者同士のつながりがまし、協力しあい、役割分担しながら、援助を進めて行けるようになるのではないかと思う。高橋先生がいつも口にされる「まちづくり」の一歩につながっていくのだと思う。




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Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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