新型インフルエンザへの対応(長文)
いまだ新型インフルエンザに関して情報が混乱している。
友人と話していたら、病院によってインフルエンザへの対応が違うといわれた。
ある病院に行った人は、検査して陰性だったから、インフルエンザではないと言われた(1)。
別の病院に行った人は、検査して陰性だったけど、疑わしいからとインフルエンザのお薬が出された(2)。
どっちを信じていいのかわからないと言う。
学校や園では、毎日「インフルエンザ」と診断された子どもの人数を報告することになっている。医師の対応がまちまちだと、どっちに入れていいのか迷うのだそうだ。
医師は検査が絶対だと思わないで動いている。その辺で、医師とまわりの人の受け止めにギャップがあるのだろう。
少し、インフルエンザの知識を整理しておこう。
まず、検査のこと。
外来で行う迅速検査でわかるのは、鼻汁(鼻粘膜粘液)中のインフルエンザ抗原が陽性なのか陰性なのかということ。陽性なら、それがA型なのかB型なのかということ。新型なのか季節型なのかまではわからない。
新型インフルエンザは、検査ではA型と判定される。現在、ちまたで流行しているのは、季節性ではなくて、新型インフルエンザ。そこで、今A型陽性と判定されたら、新型と考えてよい。
検査は、熱が出てから12時間以上経っていないと陽性になりにくい。また、検査には、実際にはインフルエンザだが検査では陰性となる偽陰性というものがつきものだ。つまり、検査の陽性・陰性が直ちに、インフルエンザであるかどうかを表していない。
今までの季節性のインフルエンザでは、陽性率は9割以上であったが、今回の新型では、陽性率が高くない、ある調査によると25%が陰性という結果であった。つまり、本当はインフルエンザにかかっているのに、検査では4人に一人が陰性になるということだ。
検査は絶対ではない。では、どうやって診断するのか?
医師は、病状と周りの状況から、インフルエンザと判断する。かつて、外来での迅速検査が無かった時代には、誰もがそうやって診断していた。そして、学校や園では、検査なしの医師の診断で出席欠席を決めていた。
治療に関しても、少し混乱しているかもしれない。
インフルエンザは基本的には自然に治癒する。抗インフルエンザ薬を必ず使わなければならないわけではない。そもそも抗インフルエンザ薬は、インフルエンザを治す特効薬ではない。インフルエンザウイルスの増殖をさまたげる薬だ。
だから、初期に使うことによって、ウイルスの増殖をおさえ、病気を軽くしたり、長引かせないようにしたりするのを目的に使う。これまでは、軽ければ対症療法だけで様子を見ていた。かつて、抗インフルエンザ薬はなかったがそれでもちゃんと治っていた。
しかし、今回の新型インフルエンザは重症化することが恐れられている。今のところ、日本では重症化した例はそう多くない。それは、今まで積極的に抗インフルエンザ薬を使用しているからだといわれている。この辺りは少し疑問もあるが、今はインフルエンザと診断したら、基本的に抗インフルエンザ薬を使うことが推奨されている。
そこで、最初の疑問に戻って考える。
(1)の例では、検査がマイナスだけではなくて、周囲の状況や本人の様子から、インフルエンザの可能性は少ないと判断して、治療をしなかったのであろう。
(2)の例では、検査がマイナスでも、周囲の状況や本人の様子から、インフルエンザと診断して治療を開始したのであろう。
熱の出始めに来院された場合は、検査をせずに治療を開始することさえある。
それらのことを知った上で、患者さんや家族、周りの人はどう考えたらいいのか?
治療に関しては、医師の視点でミクロにものを考える。まずは、検査が絶対ではないことを知っておいてほしい。今の症状がインフルエンザウイルスによるものであるのかどうかを、人は100%知ることができない。だから、まわりの状況とその子の症状に合わせて治療を選べばよい。
医師は、いくつかの情報からある判断基準で治療方法を選ぶ。可能なら、その医師がどうしてその治療を推奨するのか(抗インフルエンザ薬を使うのか使わないのか)を聞いてみることだ。
学校や園の出欠や保健所への届け出は、マクロにものを見る。検査が100%ではないことを知った上で、医師がどう判断したかで出欠を決めればいい。問題は本当にインフルエンザなのかどうかではなくて、インフルエンザと診断されたかどうかということだ。
疑わしい場合を含めてインフルエンザと診断されたら、積極的に「インフルエンザである方」に数えて、対応するべきであろう。社会防衛の観点からそのように動いていることを広く世間にも知らせる。保護者の側も行政関係者がそのように動いていることを知っておくほうがいいと思う。
友人と話していたら、病院によってインフルエンザへの対応が違うといわれた。
ある病院に行った人は、検査して陰性だったから、インフルエンザではないと言われた(1)。
別の病院に行った人は、検査して陰性だったけど、疑わしいからとインフルエンザのお薬が出された(2)。
どっちを信じていいのかわからないと言う。
学校や園では、毎日「インフルエンザ」と診断された子どもの人数を報告することになっている。医師の対応がまちまちだと、どっちに入れていいのか迷うのだそうだ。
医師は検査が絶対だと思わないで動いている。その辺で、医師とまわりの人の受け止めにギャップがあるのだろう。
少し、インフルエンザの知識を整理しておこう。
まず、検査のこと。
外来で行う迅速検査でわかるのは、鼻汁(鼻粘膜粘液)中のインフルエンザ抗原が陽性なのか陰性なのかということ。陽性なら、それがA型なのかB型なのかということ。新型なのか季節型なのかまではわからない。
新型インフルエンザは、検査ではA型と判定される。現在、ちまたで流行しているのは、季節性ではなくて、新型インフルエンザ。そこで、今A型陽性と判定されたら、新型と考えてよい。
検査は、熱が出てから12時間以上経っていないと陽性になりにくい。また、検査には、実際にはインフルエンザだが検査では陰性となる偽陰性というものがつきものだ。つまり、検査の陽性・陰性が直ちに、インフルエンザであるかどうかを表していない。
今までの季節性のインフルエンザでは、陽性率は9割以上であったが、今回の新型では、陽性率が高くない、ある調査によると25%が陰性という結果であった。つまり、本当はインフルエンザにかかっているのに、検査では4人に一人が陰性になるということだ。
検査は絶対ではない。では、どうやって診断するのか?
医師は、病状と周りの状況から、インフルエンザと判断する。かつて、外来での迅速検査が無かった時代には、誰もがそうやって診断していた。そして、学校や園では、検査なしの医師の診断で出席欠席を決めていた。
治療に関しても、少し混乱しているかもしれない。
インフルエンザは基本的には自然に治癒する。抗インフルエンザ薬を必ず使わなければならないわけではない。そもそも抗インフルエンザ薬は、インフルエンザを治す特効薬ではない。インフルエンザウイルスの増殖をさまたげる薬だ。
だから、初期に使うことによって、ウイルスの増殖をおさえ、病気を軽くしたり、長引かせないようにしたりするのを目的に使う。これまでは、軽ければ対症療法だけで様子を見ていた。かつて、抗インフルエンザ薬はなかったがそれでもちゃんと治っていた。
しかし、今回の新型インフルエンザは重症化することが恐れられている。今のところ、日本では重症化した例はそう多くない。それは、今まで積極的に抗インフルエンザ薬を使用しているからだといわれている。この辺りは少し疑問もあるが、今はインフルエンザと診断したら、基本的に抗インフルエンザ薬を使うことが推奨されている。
そこで、最初の疑問に戻って考える。
(1)の例では、検査がマイナスだけではなくて、周囲の状況や本人の様子から、インフルエンザの可能性は少ないと判断して、治療をしなかったのであろう。
(2)の例では、検査がマイナスでも、周囲の状況や本人の様子から、インフルエンザと診断して治療を開始したのであろう。
熱の出始めに来院された場合は、検査をせずに治療を開始することさえある。
それらのことを知った上で、患者さんや家族、周りの人はどう考えたらいいのか?
治療に関しては、医師の視点でミクロにものを考える。まずは、検査が絶対ではないことを知っておいてほしい。今の症状がインフルエンザウイルスによるものであるのかどうかを、人は100%知ることができない。だから、まわりの状況とその子の症状に合わせて治療を選べばよい。
医師は、いくつかの情報からある判断基準で治療方法を選ぶ。可能なら、その医師がどうしてその治療を推奨するのか(抗インフルエンザ薬を使うのか使わないのか)を聞いてみることだ。
学校や園の出欠や保健所への届け出は、マクロにものを見る。検査が100%ではないことを知った上で、医師がどう判断したかで出欠を決めればいい。問題は本当にインフルエンザなのかどうかではなくて、インフルエンザと診断されたかどうかということだ。
疑わしい場合を含めてインフルエンザと診断されたら、積極的に「インフルエンザである方」に数えて、対応するべきであろう。社会防衛の観点からそのように動いていることを広く世間にも知らせる。保護者の側も行政関係者がそのように動いていることを知っておくほうがいいと思う。
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