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インフルエンザフィーバー

ご多分にもれず、七飯地域にもインフルエンザがはやってきた。
外来で「インフルエンザ」と診断すると、
「新型ですか?新型って怖いんですよね?」と聞かれる。
一般外来での検査では、A型かB型かまでしかわからない。
でもA型と判定が出れば「新型」と考えていいとお話する。

新聞やテレビの報道を聞いて、「新型」は特別こわいものだと
誤解されている方がたくさんいらっしゃる。
しかし、新型はほとんどが軽症で終わるというのが相場だ。
うちで診ている限りでも、ほとんどの子が軽症で済んでいる。
中には脳症や呼吸障害を起こす例が報告されているが、
これまでの国内での発症例をみると、
今までのインフルエンザと比べて特別に凶悪であるとは言えない。

何をそんなに恐れているのだろうと思う。
家族にインフルエンザが出たら、仕事に出てはいけないという会社もあるそうだ。
確かに、新型の問題は、今までのインフルエンザと抗原性が異なっていて
ほとんどの人が免疫を持っていないため、急速に広がる危険がある。
だからといって、まだ発症していない人を隔離するのは行きすぎではないか。

抗インフルエンザ薬も悩みの種だ。
今まではあまり積極的に進めてこなかった。
副作用のこともあり、
また使いすぎると耐性ウイルス(薬が効かないウイルス)が出現するからだ。
抗インフルエンザ薬はウイルスを殺してしまう薬ではない。
単に増殖をおさえるだけ。
初期のウイルスの増殖をおさえることで、重症化を防いだり、
治るまでの期間を短かくしたりするのが目的だ。こ
の薬を使わなければ、インフルエンザが治らないわけではない。
だから、もともと抵抗力が弱い子や何か持病がある子には積極的使う。
普通の体力の子は使わないで自然に治るのを待つのが基本だと思う。

しかし、新型に関しては事情が違う。
複数の医学会から、早期に抗インフルエンザ薬を使うようにという勧告が出た。
去年まで、飛び降りなどの異常行動の副作用のことや、
耐性ウイルスの出現があるのに日本では使いすぎているという批判があったのに、
この変わりようは何なのだろうか?
どうも、マスコミの報道に踊らされているような気がする。
まるで、熱に浮かされているようだ。

まさにインフルエンザフィーバー(インフルエンザ熱)とでも呼びたくなる。
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No title

はるさん、さすがお医者さん。書いている内容分かりやすいです。参考になります。大騒ぎしすぎのように、私も思います。
お店に行くと、どこでも消毒薬があり、めんどうで私はそのまま買い物します。
それでも元気です。睡眠・食事・運動この3つ気をつけています。
この前夫が風邪を引きました。

サムゲタンを食べさせて、うがいをして、無理させないで寝せていましたら、二日で復活しました。おっさんだから元気なのでしょうか?
(妻のラブエネルギー?)
お陰さまで札幌に行く事が出来ました。そばで看病していた私は、うつりませんでしたよ。秋の紅葉を堪能してきました。v-34

Re: No title

ありがとうございます。
騒ぎすぎと言えば騒ぎすぎ。
ふと、考えたのだけど、
ほかに、今の日本が、さほど深刻な問題を抱えていず、
とても平和だということをあらわしているのかもしれませんね。

ともあれ、睡眠と栄養と運動、これに尽きると思います。
それと、精神的な健康~笑いも大切かもと思いました。
毎日を楽しく過ごすって大事ですよね。
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はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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