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ポリオ不活化ワクチン

8月から当クリニックでも、ポリオの不活化ワクチンを接種することにした。現在日本で行われているのは、ポリオの生ワクチン。

生ワクチンは、生きたウイルスを接種するため、強い抗体産生が得られる。しかし、毒性を弱めたものとはいえ、生きたウイルスを使っているため、先祖がえりして毒性を取り戻し、ワクチンからポリオに感染する危険性がある。これをワクチン関連麻痺性ポリオ( VAPP)と言う。厚生労働省の発表では486万接種に1例というが、ここ数年、年に2例から7例、日本でもポリオの発症があり、これらは全てワクチンによる副作用だ。

現在、日本でも、不活化ワクチンに切り替わることが検討されているが、まだその時期は明確になっていない。その間にも、ワクチンによるポリオが広まる可能性がある。ポリオ不活化ワクチンは、諸外国では普通に使われているワクチンだが、日本では認可されていないので、現在輸入ワクチンに頼るしかない。自己負担もあるし、通常のワクチンによる保障制度も適用されないという不利益はあるが、やる価値があると思う。

この間マスコミにも報道されたこともあり、問い合わせや導入の要望が相次いだ。いろいろ検討した結果、子どもたちの利益を守るために、当クリニックでも輸入による不活化ワクチンを導入することにした。輸入業者と連絡を取り、院内でスタッフ向けの学習会を行い、保護者向けの説明書も用意した。8月から接種を始める。

スタッフ向けの学習会で、「どうして日本では不活化ワクチンが認可されていないのか?」という質問が出た。本当のことはわからない。良い方に解釈すれば、日本ではこの間薬害が相次いだので新規薬品の認可に慎重になっているという説、しかし新型インフルエンザワクチンの輸入の決断は早かった。やはり、何らかの政治的な配慮が働いているのであろう。現行の生ワクチンを製造している企業を保護しているという説、であれば大きな問題だ。この間マスコミで取り上げられるようになって、ようやく重い腰をあげたようだ。しかし、実際に日本で認可されるまで、まだかなりかかる様子だ。

ポリオの会を中心にずっと以前から不活化ワクチンの導入の要望が上がっていた。それを何年間も放置していたのだ。かく言う私も、全くこのことに思い至らなかったので、人を批判することはしにくいのだが、あきらかに行政の怠慢と言えるであろう。

不活化ワクチン希望の方は、クリニックに問い合わせを。はるこどもクリニック
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Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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