看護の理念を語る
研修員会主催の学習会の2回目「看護学概論」。「看護とは何か」を語る。
s.jpg)
このために、「看護学概論」の教科書を買ってきて、あらためて勉強した。実に面白い。うちのクリニックの目指すものが「看護の理念」の中にある。
『他者を見守ったり、保護することでその人の成長や発達(その人の持つ可能性の達成)、そして生活(健康に生きていくこと、平和に死ぬこと)に関与する』
『看護師と対象との関係はある目的を目指し両者が協同していく相互作用の過程である。』
『この過程で目指しているものは、対象の自助力への働きかけである。』
どの文章をとっても、そのままうちのクリニックの理念に使いたい言葉だ。前にも書いたが、うちのクリニックでは、病気を治療することはもちろんのこと、病気の療養・看護に向き合うための前向きな力を引き出すことを大切にしたい。それは看護の中に有る。だから、看護学概論は、新人看護師がだけではなくて、うちのクリニックのスタッフ全員、先輩看護師、保育士、事務にも学んでもらうべき内容だ。先輩看護師にとっても、実践を積み重ねて、たくさんの経験をしたうえで、あらためて基本的な「看護の理念」に立ち返って学んでいくことが、とても大切な事だと思う。
例えば、問診について。以前から考えていた問診の在り方について、看護学の理念に引き付けて整理することができる。
正しい治療方針は正確な診断から始まる。診察室で医師が正確な診断をつけることは最低限必要なことだ。しかし正しい診断だけでは、前に進めない。病気を抱えることは、新たな課題に向き合うこと。課題に前向きに向き合う力は「勇気づけ」から始まる。そして、勇気づけは、相手の話を聞くことから始まる。
したがって、正確な診断のための問診とは別に、クライエントを援助するための問診が存在する。正確な診断のための問診は、分析的なアプローチ、わかりやすいように「真実追求モード」と呼ぶ。症状・経過を正確に把握し、見落としを防止するために、こちら側の関心に基づいて質問していく。
一方、クライエントを援助するための問診は、全体的アプローチ、別名「問題共有モード」と呼ぶ。大切な事は、相手が何を心配しているのか、どんな世界に住んでいて、どんな出来事の中で、今の悩みを抱えているのか聴く。そのために、相手の関心に基づいて聴いていく。
どちらのモードも大切で、日常の診療の中で、今自分がどちらのモードで聞いているのかを意識しながら対応することが大切だ、と言う話をした。
こんな風に考える事ができるのは、アドラー心理学を学んでいたおかげだなと思う。アドラー心理学は全体的なアプローチをとる。だから、アドラー心理学で物を考えるとすっきり整理できる。あとからの感想で、アドラー心理学の考え方を看護学概論の言葉で語っているように感じたという人がいた。実にいい勘をしている。
今うちのクリニックは、一人新人看護師を受け入れるということにより、とてもいい刺激を受けている。新人看護師を指導する為に、受け入れる側が、理論的にも、実践的にも、高まってきているのだ。これからも、看護に関わって色々なテーマで、スタッフの間で議論していきたいと思う。
s.jpg)
このために、「看護学概論」の教科書を買ってきて、あらためて勉強した。実に面白い。うちのクリニックの目指すものが「看護の理念」の中にある。
『他者を見守ったり、保護することでその人の成長や発達(その人の持つ可能性の達成)、そして生活(健康に生きていくこと、平和に死ぬこと)に関与する』
『看護師と対象との関係はある目的を目指し両者が協同していく相互作用の過程である。』
『この過程で目指しているものは、対象の自助力への働きかけである。』
どの文章をとっても、そのままうちのクリニックの理念に使いたい言葉だ。前にも書いたが、うちのクリニックでは、病気を治療することはもちろんのこと、病気の療養・看護に向き合うための前向きな力を引き出すことを大切にしたい。それは看護の中に有る。だから、看護学概論は、新人看護師がだけではなくて、うちのクリニックのスタッフ全員、先輩看護師、保育士、事務にも学んでもらうべき内容だ。先輩看護師にとっても、実践を積み重ねて、たくさんの経験をしたうえで、あらためて基本的な「看護の理念」に立ち返って学んでいくことが、とても大切な事だと思う。
例えば、問診について。以前から考えていた問診の在り方について、看護学の理念に引き付けて整理することができる。
正しい治療方針は正確な診断から始まる。診察室で医師が正確な診断をつけることは最低限必要なことだ。しかし正しい診断だけでは、前に進めない。病気を抱えることは、新たな課題に向き合うこと。課題に前向きに向き合う力は「勇気づけ」から始まる。そして、勇気づけは、相手の話を聞くことから始まる。
したがって、正確な診断のための問診とは別に、クライエントを援助するための問診が存在する。正確な診断のための問診は、分析的なアプローチ、わかりやすいように「真実追求モード」と呼ぶ。症状・経過を正確に把握し、見落としを防止するために、こちら側の関心に基づいて質問していく。
一方、クライエントを援助するための問診は、全体的アプローチ、別名「問題共有モード」と呼ぶ。大切な事は、相手が何を心配しているのか、どんな世界に住んでいて、どんな出来事の中で、今の悩みを抱えているのか聴く。そのために、相手の関心に基づいて聴いていく。
どちらのモードも大切で、日常の診療の中で、今自分がどちらのモードで聞いているのかを意識しながら対応することが大切だ、と言う話をした。
こんな風に考える事ができるのは、アドラー心理学を学んでいたおかげだなと思う。アドラー心理学は全体的なアプローチをとる。だから、アドラー心理学で物を考えるとすっきり整理できる。あとからの感想で、アドラー心理学の考え方を看護学概論の言葉で語っているように感じたという人がいた。実にいい勘をしている。
今うちのクリニックは、一人新人看護師を受け入れるということにより、とてもいい刺激を受けている。新人看護師を指導する為に、受け入れる側が、理論的にも、実践的にも、高まってきているのだ。これからも、看護に関わって色々なテーマで、スタッフの間で議論していきたいと思う。