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診断はなんのため

道南発達障がいを考える会に参加してきた。
今回のテーマは、「知能検査について」「WISC-Ⅲプロフィールによる事例研究」

療育センター

あたりまえのことだが、知能検査は、IQで発達が進んでいるか遅れているのを判断するだけではない、全検査IQに加えて、その下位尺度、例えば、言語理解(知識、類似、単語、理解)、知覚(絵画完成、絵画配列、積み木模様、組合せ)、注意記憶(算数、数唱)、処理速度(符号、記号さがし)の得点がどうかということをしっかり見ていくことが大切だ。今回あらためてそのことをしっかり学ぶことができた。

講師の廣瀬先生(五稜郭病院小児科)は、それぞれの下位尺度が弱い子の特徴、その子どもへの学習面への支援の仕方、行動面、社会性への支援の仕方を紹介してくれた。まさに、その子のプロフィールに応じた支援の大切さだと思う。

質疑の中で、「弱いところが見つかったらそれを訓練する手立てがあるのか?」と言う質問があった。これに対する、高橋先生(ゆうあい会石川診療所)の答えがとてもよかった。確かに弱いところを支援するというやり方もあるが、診断の目的は必ずしも訓練をするためじゃない。この子にはゆっくりなところがあるということを理解すること、その方面は伸びていきにくい、無理に伸ばそうと訓練しても伸びないのでかえって自信を失ってしまう、だからと言ってそのままでもいいということではない。でこぼこがあってもOK、診断によってその子の苦手に合わせた、まわりからの理解と支援が必要だということがわかる、訓練をするというのは普通に近づけるということ、そうではなく、その子のままで幸せになるための支援をするための診断なのだということを強調されていた。

まさにその通りだと思う。高橋先生の話をはいつ聞いても、とてもすっきりと筋道だっていて、かつ子どもたちに優しい。

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家裁の人と学ぶ

家庭裁判所の調査官の研修会に呼ばれてお話をしてきた。
テーマは「アドラー心理学~生きる力」。

かさい

依頼内容は、前半に講義、後半に事例指導してほしいとのこと。講義の内容に関しては①アドラー心理学の基礎理論~他派との違いを念頭に置いて②事例を理解するうえでの着眼点③具体的な面接技法について④発達障害のある子(大人)へのアプローチ⑤親に子への対応を考えてもらうときの留意点、とちょっと盛りだくさんであった。

日本でのアドラー心理学の第1人者野田俊作氏が、かつて家庭裁判所の嘱託医を務められていたことがあったので、現在でも調査官の中では、アドラー心理学が一定の市民権を得ている。

調査官の間でのアドラー心理学への評判を落とさないように、できればアドラー心理学への興味を広げてもらえるようにと、ちょっと緊張した。アドラー派の考え方は、心理学各派の間でもちょっと独特~個人が精神機能を使うのであって精神機能(たとえば本能)が人を動かすとは考えない、不適切な行動の原因を考えるのではなくて目的を考える、意識と無意識は対立しているのではなくて協力し合っている・・・などなど、初めて聞く人にはちょっと違和感がある。でもそこにアドラー心理学の魅力もある。

今回は講義だけじゃなくて、事例指導(事例検討)もあった。事例を理解する手立てとして、アドラー心理学の方法論が有用であることを理解してもらう絶好のチャンスだ。事例紹介のデータから、ケースのライフスタイルを想像し、今回の行動が対人関係でどのように使われているのかを考える。それに基づいて私の印象を述べる。色々な議論があったが、最後にその後の少年の生活の様子について報告があった。アドラー心理学の知識を動員して読み解いた少年の姿が、そう的外れではなかったのでほっと胸をなでおろす。

アルフレッドアドラーも、たくさんの非行少年のカウンセリングをしていた。だから、家庭裁判所の少年事件に関して、アドラーの方法論はとても有用であると思う。途中で質問もあったが、「再犯を予防できるのか」ということが、書記官のみなさんの一番の関心事だし、一番苦労するところだ。悪いところを取り除くのではなく、学んでないことを学んでもらうという教育的アプローチは、アドラー心理学がもっとも得意とするところだ。

今回の研修会を機会に、アドラーに関心を持つ人が増えてくれるといいなと願う。
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はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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