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たかがストロー、されどストロー

定例の院内学習会。今回のテーマは「ストローを使えないことに関するお母さんの悩みに答える」だ。

学習会

乳児健診などで、時々「うちの子まだストローが使えないんですが」という相談を受ける。

確かに、ストローを使えるようになると外出する時に便利だ。こぼさないで(人に迷惑をかけないで)水分補給ができるようになる。お母さん方にとっては切実な話だ。

担当者は、インターネットから小児歯科学雑誌などの論文をひき、子どもの発達段階とストローが使える時期について調べてくれた。結論的には、ストローの使用開始の月齢が早すぎると、かえってストローでの水分摂取機能獲得期間が長くなる傾向があること。また、コップからのすすり飲み習得にも時間がかかってしまうということだ。

まず、ストローを使って飲めるためには、舌や上唇と下唇、口の周りの筋肉などが発達していることが必要で、コップからの連続すすりのみができるようになっているのが条件となる。月齢的には9~10か月頃が相当する。ただし、これはあくまでも目安に過ぎなく、個人差がある。

また、口の発達段階でいくと、早くからストローなどを使うと、前から後ろへと舌が動きストローを口の奥へと運んでいき、水分を流し込む形になってしまう。コップで飲むということは、唇をすぼめ水の量を口の入口の上部で水の量を加減し口に含み、水を一塊にして口を閉じて飲み込むということ。唇、舌、のどのかなり複雑な働きを総動員して水を飲むという行為が成立している。

口の機能が十分発達していない時期にストロー飲みを始めると、コップからのすすり飲みの獲得が遅れ、かえってストローのみの自立が遅れるというわけだ。だから、ストローを使えるようにと焦ってはいけない。

保護者には、ストローで水が飲めるようになることを目標にするのではなく、スプーンやコップで水が飲めるようになることを優先させるようにとお話していく必要がある。

離乳期は、親が食べさせてあげなければならない時期だ。食べさせることを通して、親と子のお互いの関係を作っていくという大切な時期でもある。ストローや一人で飲める食具を使っての利便性もあるけど、子どもに手をかけてあげるということも大事なことだ。いつまでもストローが使えないということはない。あせらず、ゆっくりと子どもとの良い関係をつくる。そうすることで、かえって子どもは安心して自立へと向かっていくのだと思う。
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Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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