fc2ブログ

大雪の中、上ノ国へ

定例の上ノ国でのアドラーの集まりがあった。出発しようとしたら、大変な大雪。いったいいつまで雪が降るのであろうか。家族総出で、家の前の雪を排除する。昨年の家の前で車が埋まるという事件から学び、今年は除雪機を導入した。それが正解。家の前にうず高く積もる雪山。道南では珍しい光景だ。




久しぶりの上ノ国。最近の出来事から話題を取り出して、パセージのテキストを読む。やっぱりパセージはいい。今回は、「子供の課題に口を出す弊害」と「目標の一致」のところを読んだ。いつも読むたびに新しい発見がある。

今年は、7月からパセージを開講する予定だ。少しでもアドラー育児が広まることを祈る。
スポンサーサイト



子育て講座のびのび

子育て講座のびのび第9弾「子どもの行動で困っている方へ」があった。講師は、発達障害者支援センターあおいそらの高橋実花氏。

のびのび

今日のお話のテーマは「幸せについて考えてみる」。実花先生が発達障害の子どもと保護者の相談を受ける中で、感じていることをざっくばらんにお話してくれた。

まずは、イギリスとアメリカで研修した時に感じた日本との考え方の違いについて。たとえば、向こうでは「特別支援教育」は権利だと考えられてる。「みんなと同じことを同じように」ではなくて「その子にあった英才教育を個別に受ける」ことなので、「特別支援教育」が肯定的に受け止められている。

もともと移民の国なので、自分と違う人、違う文化を受け入れる土壌がある。お互いの文化を認めお互いの誓いを尊重する。一方で主張しなければ分かり合えない。だから、「特別支援教育」も自分たちの権利として主張する。

日本は、反対に、まわりを見回してなるべくみんなと同じでありたいと願う文化なので、なかなか「特別支援教育」が肯定的に受け止められない。すぐに真似をするのは難しいが、日本人らしい主張の在り方がってもいいと思うということであった。

そして、「幸せであること」について。日本人でも、イギリス人でも、アメリカ人でも、たとえ文化が違っても、障害があっても、障害がなくても、「幸せ」には共通項がある。
 自分で自分の人生を決める自由がある
 衣食住に困るような貧困がない
 睡眠がとれること、ある程度の健康が保たれること
 愛する人、大切な人が存在すること
  その人たちとコミュニケーションが取れること
  その人たちがとんでもなく不幸ではないこと
  たとえささやかでも、その人たちのために、
   自分自身が役に立っているという自負があること
 将来の生活に対しる見通しがある程度たっていること
 人生を悪くないと思えること

実花先生が挙げた条件は以上だ。特に、4番目の「愛する人、大切な人が存在して、その人といいコミュニケーションが取れていて、その人たちに役に立っているという自負がある」というのは、とてもとても深く納得する。

ご本人は、何の根拠もない私見だからと謙遜していたが、とても考えさせられる内容であった。

ももの花

ももの花が咲いた。
昨日のひな祭り準備会のために用意した切り花のももの花だ。
今日も外は大雪だ。だけど家の中には、一足先に春が来た

もも

雪をバックにももの花、ちょっといい感じ

ひな祭り準備会

今日は、まんぼうクラブで毎年恒例になった「ひなまつり準備会」だ。
11組の家族+スタッフで、総勢30名の大所帯。
ひなまつり


まずは、折り紙でおひな様づくり。子どもたちそれぞれのオリジナルおひな様の出来上がり
ひな1ひな2

七段飾りの本格的なおひな様飾りに挑戦。みんなで頑張って飾るのがいいね。
ひな3ひな4

そして、お琴の演奏会。日本の伝統の音だね。みんな興味津々。
ひな6ひな7

さて、おまちかねフルーツ大福づくり。自分でこねた大福の味は格別。
ひな5
ひな8ひな9

もう待ちきれなくて、食べちゃった。ほっぺたが落ちそう♪
ひな10ひな11

最後は、お抹茶を点てて、みんなでお茶会。最後まで楽しめたかな?
ひな12ひな13

本物の文化に親しむ、食に手をかける、親子が楽しみを共有することが、子どもの育ちには大切だという思いで、まんぼう行事を作っている。でも、何よりこの子どもたちの笑顔に癒され、一番幸せを感じているのは私たちスタッフなのだとも思う。

インフルエンザ検査について考える

今年もインフルエンザが流行ってきた。学校から「インフルエンザ検査をするように」と言われたといって受診する人もいる。確かにこの流行下では、インフルエンザにかかっているのかどうかがとても気になることだろうと思う。しかし、そのたびに思う、検査はそんなに万能じゃないんですよと。あらためて、検査の限界についてちょっと書いてみる。

ワクチン


どんな検査でもそうだが、検査の結果だけで病気の有り無しが100%わかるわけではない。疾患を持つ人でも検査では陰性に出る場合があるし、疾患を持たないのに検査では陽性に出る人がいる。

感度・特異度表

感度 a/a+c x100
特異度 d/b+d x100
陽性的中率 a/a+b x100
陰性的中率 d/c+d x100

インフルエンザにかかっている人でも、検査では陽性に出たり、陰性に出たりする。インフルエンザにかかっている人の中で、陽性に出る人の割合を「感度」(上の表の a/a+c ×100)と言う。また、インフルエンザではない人の中で、陰性に出る人の割合を「特異度」(上の表のd/b+d ×100)という。

例えば、今うちのクリニックで使っている検査キットは、感度93.8%、特異度98.1%であることがわかっている。つまりインフルエンザになっている人1,000人を検査したら、938人は陽性になるが、62人は陰性に出てしまう。逆に、インフルエンザではない人1,000人を検査したら、981人は陰性だが、19人は陽性になってしまうということだ。

感度93.8%というのは、かなりいい方に見える。けれども、外来には、事前にインフルエンザかどうかがわかっていない人がくるので、ベイズの定理という確率の公式が適用される。以下に少し詳しく解説するが、外来でインフルエンザ検査陽性に出た人をインフルエンザと診断できる確率(これを陽性的中率という)は、地域の有病率に左右され、次の式であらわされる。陽性的中率=感度×有病率/{感度×有病率+(1-特異度)(1-有病率)}×100。(上の表でいえば、a/a+b ×100)

例えば、地域である程度インフルエンザが流行っているとする。わかりやすくするために地域の人の集団10,000人を考える(下の図)。地域の有病率を10%と見積もると、10,000人中1,000人がインフルエンザ(真陽性者)で、9,000人が非インフルエンザ(真陰性者)と考えられる。実際にインフルエンザである人1,000人中検査でインフルエンザ陽性になるのは、1,000×0.938=938人(真陽性検査A)。一方インフルエンザではない人9,000人中インフルエンザ陽性になるのが9,000×(1ー0.981)=171人(偽陽性検査B)。検査で陽性だった人が実際にインフルエンザである確率(陽性的中率)は、インフルエンザ検査で陽性になった人(真陽性検査+偽陽性検査)の中の真の陽性者(真陽性検査)の割合、A/(A+B)×100で計算できる。これは、938/(938+171)×100=84.5%、8割5分の確率にしかならないのだ。

陽性的中率

地域の有病率が上がれば、この数値は上がっていく。有病率が30%(流行のピーク)なら、陽性的中率は 95.4%。これならかなり信頼度は高い。一方有病率が下がれば、この数値はもっと下がって行く。有病率が0.1%(ほとんど流行していないとき)なら、陽性的中率は33.2%にしかならない。3人に1人しか的中しないのだ。

逆に、検査で陰性だった人を本当にインフルエンザでないと診断できるのはどれくらいの確率(陰性的中率)であろうか?これは、ベイズの定理によれば、陰性的中率=(1-感度)×有病率/{(1-感度)×有病率+特異度(1-有病率)}×100となる。(上の表でいえば、陰性的中率=d/c+d ×100)

これを計算すると、有病率0.1%の時、陰性的中率99.9%。有病率10%の時、陰性的中率99.3%。有病率30%の時、陰性的中率97.3%となる。流行っていないときは、検査通り否定してもいいが、流行のピーク時には、少し慎重になるべきだということだ。たとえば、家族やごく身近にインフルエンザの人がいて、2,3日おいて高熱が出ていれば検査で陰性が出ても、インフルエンザと診断する。なので、検査しないでも状況だけでインフルエンザと診断するのはごく普通にあることだ。

これだけでも、インフルエンザ検査が100%でないことがわかってもらえると思う。医者は、インフルエンザの検査結果だけでインフルエンザと診断しているわけではない。検査結果を参考にしながら、地域の流行状況、患者さんの年齢、症状(重症感、症状の変化)などを参考に全体的な状況からインフルエンザであるのかどうかを診断している。

だから、地域の方々(学校の先生、幼稚園・保育園の先生)にお願い。安易に「インフルエンザ検査をして来なさい」と言わないで欲しい(検査だけではわからないのだから)。せめて、「インフルエンザかどうか診察(診断)をしてもらうように」と言って欲しい~外来でいろいろ頭をめぐらせて考えつつ、奮闘している医師に敬意を表して。


最新記事
カレンダー
01 | 2012/02 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 - - -
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
プロフィール

はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード
アルバム
RSSリンクの表示
検索フォーム