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外来小児科学会に参加して

27日から3日間、福岡で開かれた外来小児科学会に参加してきた。

医師だけではなくて、小児科外来に関わるコメディカルスタッフに広く開かれた学会だ。看護師さんをはじめ、事務、保育士、臨床心理士、作業療法士、言語療法士もたくさん参加されていた。

乳児健診、病児保育、発達障害、子育て支援など、これからうちのクリニックでも力を入れていこうと思っている分野の発表が満載だ。あれもこれも聞いてみたいと目移りしてしまう。3人で行ったので、それぞれ分かれて、後でお互いにシェアリングをすることにした。

プライマリーケアで必要な基本的な知識や技能の交流から、日々の外来実践的な取り組みの交流、地域の様々な機関との連携まで、幅広く学ぶことができる。ポスターの掲示をざっと見ただけでも、それぞれのクリニックがとても熱心に、創意工夫をこらして、日々の医療実践に取り組んでいるのが分かる。

外来小児科を充実させようという参加者の情熱に触れて、元気をもらった。明日にでもすぐ活かせる工夫もいくつか仕入れてきた。そして、これからのクリニックの方向性が間違っていないと言うことも確認できた。

まもなく1周年を迎えるところで、あらためてこれからの展望を整理してみようと思う。休診にして、地域の方には不便な思いをかけてしまったが、クリニックの充実発展をもって償っていけるものと思う。

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休日に働く

今日は当番病院であった。年に4回くらい回ってくる。病気に日曜日はないので、どこかの病院が引き受けなければならない。身体的にはハードだが、地域医療に貢献しているという実感が持てるので、精神的には元気だ。はりきって仕事をした。お母さんの安心した顔、点滴した後の元気な子どもの笑顔で、しっかり癒される。

七飯の中で1箇所の当番医なので大人の人も訪れる。とはいえ、こどもクリニックと言う名前なので、最初から函館市内の病院を選んで行く人のほうが多い。小児科医は感染症に強い。発疹性の疾患などは、内科の先生から相談されることさえあるくらいだ。だからあまりストレスにはならない。けれど、普段見慣れない病気はちょっととまどう。薬をたくさんもらっている人もちょっと大変だ。けれど、そこは医師としての頑張りどころだ。頼られるからには応えなければいけない。かつて研修時代に学んだ知識だけでは不十分だ。少しずつ内科の病気の勉強もしていこう。医学の勉強には限りと言うものがない。

日曜日にも職員さんに働いてもらう。ちょうど今週は、週の後半に学会があるので休診にする。職員さんにそこで休んでもらえるので、少し気が楽だ。次回は、お正月中に当番医が当たる。きっともっと大変だろう。またみんなで力を合わせ、がんばっていこうと思う。

インフルエンザの流行を占う

昨日の夜は、新型インフルエンザ対策セミナーというものに参加してきた。昨年の新型インフルエンザ騒動の記憶がまだ新しい。今は沈静化しているとはいえ、この秋から冬の流行が気になるところだ。

昨年の新型インフルエンザは、メキシコから始まり世界中に広まった。世界214カ国で発生、死亡例は19,449人であったそうだ。日本と他の国では、新型インフルエンザの流行の仕方に違いがあった。もっとも顕著な違いがあらわれたのは、死亡率。他の国では、人口10万人に対して、0.5~1.3くらいであったのが、日本では0.15とかなり低い。世界中からなぜ日本では低かったのかと聞かれるのだそうだ。

まるで、ウイルスが異なっているかのようだ。しかし、DNA検査でも同じウイルスであることが確認されている。一部で昨年のインフルエンザ騒動を騒ぎすぎだと言う批判があるようだが、この日本の死亡率の低さは、官民を挙げての予防対策の成果ではないかということだ。

講師の方があげていたのは、
 ○皆が知っていて注意した
 ○個人衛生レベルが高い
 ○医療機関への受診が容易
 ○医療費が安い
 ○医療機関がまじめに取り組んだ
ということだ。

まず、日本のインフルエンザも決して軽症であったわけではない。従来の季節型に比べて、重症例の割合は多かった。重症例/総報告数をみると、
08-09年:16/72,760に対して、09-10年:157/86,250と圧倒的に重症例の割合が多い。それにもかかわらず死亡例が少なかったのだ。

それと初期対応が的確であったと言う証拠がある。最初の報告があった5月9日以降、近畿地方を中心に小流行があったが、その後およそ1カ月ほど小康状態があり、6月以降全国に広まった。このタイムラグにより、地方への情報の伝達やワクチンの開発など、様々な対策を練る時間を稼げたということだ。

しかも、初期の近畿地方の流行とそれ以降全国に広まったウイルスの系統が違う。他の地域は、国内からの伝搬ではなくて、他の国から別のルートでウイルスが侵入したことが分かると言う。近畿地方の小流行を一度は制圧することに成功したということだ。

積極的な学校閉鎖・学級閉鎖、手洗い・うがいの励行、抗インフルエンザ薬の使用の奨励、重症例の積極的な入院加療、比較的早期のワクチンの開発などが功を奏したということであろう。


ところで、今期のインフルエンザはどうなるのであろうか?

現在、北半球ではインフルエンザは小康状態だが、南半球では散発的に流行している。それによると、B型とA香港型が検出されているらしい。新型はごくわずかだ。南半球での検出のされ方で占うと、今シーズンはB型とA香港型がはやりそうだ。新型も侮りがたい。新型に対する抗体保有率はまだ低いと思われるので、出始めればはやるものと思われる。

今年のインフルエンザワクチンに含まれる抗原の型が決定された。
 新型【A/California/7/2009(H1N1)-like virus】
 香港型【A/Perth/16/2009(H3N2)-like virus】
 B型【B/Brisbane/60/2008-like virus】

今年は、新型と季節性と両方が入ったワクチンなので、接種は一回で済む。ぜひ、多くの方に接種してもらいたいものだ。今のところ10月から市場に出回るらしい。当クリニックでも9月ころから予約を受け付ける予定だ。(予約を開始するときはHPでお知らせします)

発達障害臨床の最前線

今日は、おしまコロニー石川診療所(地域療育センター)に見学研修に行った。

発達障害臨床のエキスパート高橋医師の診療を間近に見る。診察室に一歩入ったところから、なるほどと感心させられる。マットを敷いて、低いテーブルをはさんで低い椅子とソファがある。親も子どももリラックスできるようにと言う工夫だ。

初診1時間、再診20分で、完全予約制。初診の患者さんの診察は慎重に、時間をかけて、ゆっくり見る。お母さんからのお話を聞き、子どもにも話しかけ、発達検査を行い、遊ぶところを見る。子どもに対してもまっすぐ向かって、丁寧に話しかける。次に何をするのかをひとつひとつきちんとお話しているところが印象的であった。

子どものおもちゃは、最初からあるのではなく、別室に片づけて布をかけてある。こんなところに細かい配慮がある。まず、お話して、おもちゃを持ってきて遊んで、片づけてお話しをする。やりたいことを好きなだけやるのではなくて、始まりと終わりをきちんと教えることを日々の診療の中でも実践している。

再診の患者さんには、今困っていることを具体的にお話してもらう。どんな風に働きかけたらよいかを具体的にアドバイスする。あるいは、お母さんが思うように子どもがうまくやれない理由を、その子の特性からていねいにお話する。病気に対する一般的な診療とだいぶ趣が変わっている。いわゆる「相談外来」だ。

大人から子どもまで、さまざまな患者さんの診療を見させていただいた。おかげさまで、療育センターでの診療の具体的なイメージを持つことができた。有り難いことだ。

高橋先生の診療と並行して、センターの中の言葉の教室~言語療法士によるコミュニケーショントレーニングにも通っている子どもが多い。そこは、子どものスキルアップの訓練だけではなくて、お母さんにセラピストの子どもへの関わり方を見て、モデルとして学んでもらう場でもあるという。ぜひ、次回はそのトレーニングの現場も見せていただきたいと思った。

高橋先生の外来受診を首を長くして待っている親子がいる。今、初診の患者さんは9カ月待ちだ。待ちきれなくて、うちのクリニックに相談に来る方もいる。この状況を何とかしてほしいと願っているが、診療の現場を見せてもらって、なるほどこれなら納得がいく。

療育センターの役割は、こうやって一人一人を丁寧に見ていくことだ。療育センターを支える地域の連携が大切なのだと思う。七飯にも、お母さん方の困っていることに専門的に答えていく施設があるべきだという思いを強くした。なんとか、誘致できないものかいろいろ考えてみようと思う。

化粧直し

ちょうど1年たったところで、建築業者さんの1年点検があった。木を使っているので、どうしても乾燥して縮まり、ところどころ隙間ができている。すっかりシーリングで埋めてもらった。しかし、建てつけにはまったく狂いがない。なかなかいい仕事をしてくれている。

診察室の床材も張り替えた。。クリニックの床は、子どもが転んでもけがをしないように、軟らかい材質を使っている。ちょっと重いものがのっかるとへこむくらいだ。診察室の椅子のキャスターの摩擦で、床材が浮き上がってきてしまったのだ。

はだしで歩いても気持ちがいいのはこの床材のおかげだ。しかし、椅子の固いキャスターでくりかえし擦られると、そのたびにたわんで接着剤がはがれてきてしまうのだ。診察室だけ、やや硬い床材に変えることにした。しかし、今日発注した床材を見てびっくり。注文した柄とまったく違っているのだ。手違いがあったようだ。

なかなか豪勢な大理石調の床だ。診察室の床にはちょっと違和感が・・・。もしこれが診察室でなければ、そのままでもと思うが、やっぱり取り換えてもらうことにした。といっても、一度はがしてしまった元の床材は張れず、とりあえず間違ったもので仮張りしてもらった。

IMG_2870.jpg

なかなか雰囲気はあるでしょう?写真で見るよりやっぱり実物を見ないとね。19日までの期間限定床ですよ~~

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はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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