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アドラーを語る2

5月22日アドラートークの会は、アドラー心理学の理論の2回目「目的論」についてであった。

アドラー心理学では、人間のあらゆる行動には目的があると考える。
よく私たちは、「~だから○○できない」、「私は~だから○○なのだ」と言う風にものを考える。
そうではなくて、「△△したいから○○しない」「△△を逃れるために○○と言う」と常に目的を考える。

たとえば、前回の「個人の主体性」でも使った例だが、「怒っちゃいけないと思うんだけど、つい子どもを怒ってしまうんです」というのは、「怒りと言う感情」が原因で、「子どもを怒ると言う行動」が結果だと考えるので、こういう見方を原因論と言う。

アドラー心理学では、「子どもに言うことをきかせるために、感情を使う」と考える。「子どもに言うことを聞かせる目的」のために、「怒りと言う感情を作り出している」のだと考えるので、これを目的論と言う。ただし、その目的は、自分で意識しているのではなく、無意識的なものだ。

ある職場で「教えてもらっていないから、できません」と言う人がいるけれど・・・という具体的な例が出ていたので、それについてみんなで一緒に考えた。

普通私たちは、そのように言われると「じゃ、どうやって教えれば、何を教えればいいのかな」と前の部分に反応して対応する。しかし、教えても教えてもなかなか覚えないということがしばしばある。それは、前半の「教えてもらっていない」という原因の部分に注目しているから。原因を取り除けば、その人はうまく動くだろうと考える。しかし、これを目的論で考えると、先に「したくない」ことがあって、そのために「教えてもらっていない」という言明を持ちだしていると考える。そして「したくない」ことに注目するとより有効な援助の仕方ができるのだ。

なぜ、したくないのか?たとえば、その仕事に意味を見出していないからとか、あるいはその仕事をすることで自分の能力のなさが露呈されることを恐れているとか、何か不利益があると思っているからとか(ただしいずれも無意識的なもの)・・・そういう方向でものを考えると働きかけの仕方も変わる。たとえば、その仕事の意義をきちんとお話しするとか、他のところでその人に勇気づけをするように心がけるとか、もっとよく話を聞いてみるとか・・・

目的論は切れる刃だ。下手をすると「あの人は、○○を言い訳に使っている」という風に相手を非難し、糾弾するために使ってしまう。そうするとかえって関係が悪くなる。あくまで、目的論(アドラー心理学全体がそうなのだが)は他者を援助するために使われるものなのだ。

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Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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