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医学の徒

医学部2年目の学生が実習に来た。
小さなクリニックに来てくれるのは珍しい。
たまたま知り合いの甥っ子さん。
本格的な医学の勉強を始める前に、こうやって臨床の現場を知るのはとても貴重なことだ。

将来、小児科をやりたいという。
とてもうれしい。

診察室で、患者さんの訴えを聴き、質問する。
診察し、診断をつける。
診断にそって治療方針を立て、患者さんに説明する。
疑問があれば、質問してもらう。
これだけのことだが、その全課程を見てもらう。

第一線の臨床医が、日々どのようなことをしているのかを見てもらうのは、とても大事だ。
3年生になってから、臨床実習が始まる。
でもそれは大学病院で行われる実習だ。
こういう小さい診療所での医療とだいぶ趣が変わる。
うちのクリニックは、誰でもがなる病気、圧倒的にかぜが主。
たかが「かぜ」、されど「かぜ」。
一見かぜのように見えて、実は肺炎であったり、時には川崎病であったりする。
重症な病気の見極めをどうつけていくのか?

大学で研究しているような高度な治療を必要とすることはない。
どんな治療をするのかよりも、家でどんな療養をするのかが大事だ。
だが、大学の授業ではほとんど習わない。

そして、お母さん方からのたくさんの質問。
本当にささいな質問が多い。
「これはインフルエンザではないか?」
「いままで、こんなに熱が出たことはなかったのに。」
「咳がないのにかぜなんですか?」
「じんましんが良くなったと思ったらまた出たのはどうして?」

医学的にこうであるということは言うのは簡単だ。
でも、それでお母さん方が納得するわけではない。
そのあたりの対応の仕方、その秘訣は25年の臨床経験によるものだ。

なかなか言葉では表現できないが、実際に見てもらうことでそのあたりの呼吸を感じてもらえる。
そういう点で、うちのような小さなクリニックでの医学生の実習が貴重なのだ。

これから、本格的な医学の勉強が始まる。
何をどんなふうに学んでいったらよいのか?
それの糸口が見つかるといいなと思う。

花束を贈られて

今日は、前の病院への出務の最後の日であった。

前の病院で長い間見てきた子どもたちをフォローするために、開業した後も月に1回だけだが、前の病院の外来を担当させてもらっていた。半年経ってある程度状況が整理できたので、私が担当する必要性がうすくなった。また、今のクリニックでの仕事が増えてきたこともあり、病院との相談の上でこの3月で中止することにした。

終わり頃に、小児科に外来職員が集まってきたので、何が始まるのかと思ったら、なんと私への花束贈呈のセレモニーだった。予想してなかったので、ちょっと目頭が熱くなった。本当に長い間お世話になった。15年間通い続けた職場だ。正直言って後ろ髪引かれる思いはある。だけど、やりたいことがあったので、思い切って飛び出した。はっきり言って私のわがままだ、それをうらみもせずにこうやって送り出してくれる。とてもありがたいことだ。医局のみんなからもお酒を贈られた。

これで縁が切れてしまうわけではない。函館にはちょくちょく来るし、車で30分の距離だし、同じ道南で仕事している仲間として、これからもいろいろな面で協調してやっていけると思う。

IMG_1388~2

きょうだい達への支援

昨日TEECHプログラム研究会主催の講演会に参加してきた。
「きょうだい達への支援」というテーマで、講演者は熊本益城病院こども心療室の田中氏(精神科医)。

発達障害では、本人や保護者への支援は当然だが、親以外の家族に対しての支援が見過ごされがちである。とくにきょうだい(兄弟姉妹)は、他の定型きょうだいでは経験しないことを経験する。それは、ある意味で肯定的な側面を持つが、発達途上の子どもとして時に否定的な側面を持つ。

たとえば、ノーマライゼーションの意識を小さい時から発達させたり、思いやりや辛抱強さを身につけたり、また早くから自立へ向かう力も発達させる。しかし、さみしさや孤独を味わったり、不満・不公平感を募らせたり、また強いプレッシャーや負担を感じたりする。

きょうだいの様々な反応は、今までの研究では次の4つにまとめられるらしい。
1.親代わりする子ども
2.優等生になる子ども
3.退却する子ども
4.行動化する子ども

親として気をつけるべきことは、
1.必要以上の責任を負わせていないか?
2.障害のある子をいつも一番にしていないか?
3.いっそうの頑張りを期待していないか?
4.きょうだいの声を否定していないか?
というところをみていくといい。

きょうだいがまだ小さいからと言わずに、早目にきょうだいへの支援を意識してほしいと訴えられた。講演者自身が障害を持つ人をきょうだいに持ち、自分の体験を交えて話してくれたので、とても身近でわかりやすい内容であった。

日本にもきょうだい支援のプログラムがあり、道南地域にも「きょうだいの会」というのがあって活動している。そこの活動の紹介もあった。

うちのクリニックにも、発達に課題をもつ子どもたちがよく来てくれる。きょうだいも一緒にきてくれるし、時にはきょうだいが問題を抱えて来たりする場合もある。発達障害のきょうだいへの支援が大切なのだということを改めて認識しなおし、保護者の方々と一緒に考えていくようにしたいと思う。

新しい学び

昨日道南周産期医療研究会に参加してきた。
今回は3つの講演があった。

新生児の低体重化が問題になっているという話。
生まれてくるときの体重が少ないと成人病の発生率が上がるというデータがあるらしい。胎内環境がその後の健康と大いに関係がある。若い女性の食生活から改善していくべきだというふうに受け止めた。

未熟児医療の最前線の話。
かつては、いかに命を助けるかが大きな問題であった。技術の進歩で、未熟児を助けることができるようになってから、早期から未熟児室で療育(リハビリ)を始めることが大事になり、さらに今では、未熟児のベッドサイドでの子育て支援~カンガルーケアやタッチケアが大切になってきているという。とても納得できる話であった。

未熟児が生まれる背景に社会的な問題があるという話。
かつては、不妊治療による多胎のために未熟児が生まれるというケースがあったが、生活の困難さと結び付いた早産の割合が増している。これは、医療の進歩だけでは改善できないことだということが強調されていた。

いずれも、とてもためになる話であった。ちょうどうちのクリニックで、これから本格的に「タッチケア」、「母乳」、「食育」などの「育児支援」に取り組もうとおもっていたところなので、大変いい刺激になった。

この研究会にあらわれているように、函館(道南)では、産科と小児科の連携がとてもよく作られている。

これからも、こういう場に積極的に出て行って、刺激を受けてこようと思った。
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プロフィール

はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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