不登校と向き合う

先日(11月21日)星槎高校主催の不登校・ひきこもり啓発セミナーの講師として呼ばれた。昨年に引き続いて、2度目のご招待で大変光栄に感じる。
今回のセミナーのテーマは、「不登校・ひきこもりと家族・地域とのかかわり」。私ともう一人、発達障害支援センターあおいそらの相談員の方と二人で講師を務めた。
小児科医からみた不登校の話をしてほしいととの依頼であったが、おもに、不登校をどうとらえるのかという考え方と実際に不登校の子どもとどう日々を過ごすのかという具体的な方法についてお話しした。
まずは、不登校に対する考え方について。そもそも、子育ての目標は何か?この社会を担っていく次の世代を育てること。そのために、何に注目するのかというと、子どもの社会性。本来子どもは、社会に開かれていく潜在的な力を持っている。ただ今の世の中はそれが育ちにくくなっている。どうやって、子どもたちの社会性を育てていくのかは、とても大事な課題。学校は一つの手段にすぎない。
学校に行かない子どもたちは、社会に開かれる準備を学校という場でしたくないのに過ぎない。だから、今学校に行っているのか否かは問題ではない。今、社会に開かれる準備をしているのかどうかが肝心。それは、必ずしも学校に行くことでなくてもいい。ただし、学校に行かない子どもたちは、多かれ少なかれ、周りから否定され、縮こまって生活している。
では、具体的に何をするのか?それは、「ともに遊び、ともに働き、ともに話し合うこと」。遊びや労働を通して、子どもたちが「自分のまわりの人々は仲間だ」と感じ「その仲間に対して私は何かしら貢献するだけの能力がある」と思えるように援助することができる。
おおむねそのようなお話をした。
二人の話の後の質疑応答もとても活発に行われた。なかなか答えにくい質問もあったが、相談員の方と交互に考えながら答えることができたので、なかなか濃い話ができたと思う。講演は同じ話もできるが、質疑応答はその場のお客さんとのライブなやりとりなので、二度と同じ話はできない。こういう生きた時間がとても面白いと思う。
その後、参加者との座談会および個別相談の時間があった。うれしいことに、ある中学生が私と話がしたいと来てくれた。将来のことも含めていろいろとお話しした。とても気持ちが楽になったと感想を語ってくれた。この子と会えただけでも、今日来た意味があったと思う。
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