道南発達障害を考える会の講演会に参加した。テーマは「専門医とプライマリ医をつなぐ~発達障害の地域連携~」、講師は亀田総合病院(千葉県)小児科医長の市河茂樹先生。今回はこの講演会の座長を務めることになった。

今年4月の日本小児科学会で、市河先生の講演を聞いた。今まさに道南で求められている話だと思い、ぜひ道南発達障害を考える会の講演会の講師にと要望を出したのが実現したものであった。いいだしっぺなので座長を務めることになったものだ。
発達障害を見る専門医が足りないというのは全国的な傾向だ。道南でも専門医にかかるには早くて6か月後、ケースによっては1年後、2年後という場合もある。市河先生のところも例外ではなく、6カ月待ちのなのだそうだ。そこで、地域のプライマリケアを担う医師との連携が課題になる。
まずは、院内の研修医とどのように連携していったのかというお話し。問診票、アセスメントシートを活用し、診療システムを工夫し、研修医と並行して診療していく事で、受診までの待機時間を短縮した。同時に、研修医の診療スキルの向上をはかれたし、専門医の業務軽減につながったということだ。
そこでの工夫のうえに、さらに緊急受診システムをとりいれたり、地域カンファレンスに参加したりすることで、地域のプライマリ医(いわゆる家庭医)や小児科医と連携する。専門の発達外来を受診せず、地域のプライマリ医や小児科の単独診療で済んでいるケースが増えてきたということだ。
「共通のツールを導入し、アセスメント軸を共有する」というお話しが印象に残った。私たち一般小児科医は、発達障害を専門的に診療しているわけではない。だからと言って、診断や療育が必要な子どもたちをすべて専門医に任せていては、専門医の外来がパンクしてしまう。私たちにもできることがあるのではないかと思う。その時に、専門医の先生と「共通のツールを導入し、アセスメント軸を共有する」ことができることが何より重要なのだと思う。
このような講演会を「道南発達障害を考える会」として聞けたことは大きいことだ。この道南の地域に合った形で、市河先生のところのようなシステムを移入できないものかと思う。さいわい、道南の小児科医同士はまとまりがある。これから、ますますよい地域連携が進んで行くのではないかと思う。