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年末研修会と網子(あご)別れ

2020年ももう暮れる。大掃除も終わり、棚卸しも済ませて、最終日(12/28)は院内研修の日とした。

2020年末1

前半は、先日道南発達障害を考える会で発表した「小さなはるの風の実践報告」をクリニックスタッフにシェアした。なにより、クリニックがあってこその小さなはるの風だと思うから。そして、この報告の中に、私たちが何を目指しているのかがはっきり描かれているので、クリニックスタッフに共有してもらうのは大きな意味があると考えた。

スタッフからも、1年半でここまでできるようになるのはすごいという感想をもらった。特に、立ち上げから援助してもらった療育スタッフからは、始まりのころは活動がうまくいかないと落ちこんでいたスタッフが、失敗を糧に次はこうしてみようという意欲を見せ始めたことに集団としての成長が見られるというコメントをもらえたことはうれしかった。

後半は、アドラー心理学を応用した「自分の癖を知る」ワーク。小さい頃の印象的な思い出を絵にしてもらい、グループで話し合おう。主人公の強さについて、何を解決しようとしてるのか、解決する手段は何か、結局何を目指してるのかなどについて、意見を出し合った。こうして話し合ってみると、まず何を思い出すのかにその人らしさがはっきり出ているし、似たようなできごとに対しても、全然違うアプローチをしているのがわかる。「それぞれに大事にしているものが違う」と言うことを知れたのが、一番大きな収穫だったのではないかと思う。

2020年末2

最後に、みんなで車座になって、今年一年を振り返っての一言と来年の抱負を述べあう。毎年恒例のお楽しみ抽選会をし、一本締めで締めて、今年の仕事おさめ(網子別れ)とした。

1年間お疲れ様でした。来年もみんなで力を合わせて良い年にしていきましょう♩





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世の中ってどんなところ?

今年度3回目の実花先生の学習会、クリニックと小さなはるのかぜの合同研修会。
テーマは、「世の中ってどんなところ?」
障害を持つ子どもたちは、この世界をどんな風に感じ、体験しているのだろう。
子どもたちの見ている世界を体感的に学ぼうという内容であった。

世の中ってどんなところ?

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちの言語に関わる苦手さーー
◎ASDの人たちは“言葉”を操るのが苦手。
◎過剰な声掛けは、ASDの人たちを混乱させる原因となりかねません。私たちはそれを“過剰”と認識していない場合も多いかもしれません。
◎ASDの人たちは自分の考えを持っています。でもそれを適切に言葉にするのが苦手です。言葉を選ぶのに時間がかかったり、自分の考えにぴったりの言葉を探せなかったり、話すタイミングがわからなかったり…。話したくないわけではないのです。

そして、体験は、こちらの動画、
https://youtu.be/xHHwZJX67-M
英国自閉症協会作成の啓発動画

自閉スペクトラム症(ASD)の子どもたちの感覚の過敏や鈍麻ーー
◎“感覚”を実際に認識するのは脳。だから、脳の機能が違うと同じ刺激でも強く感じたり弱く感じたりする。
◎感覚過敏は定型発達の人には非常に分かりにくく、知識を持っていないと気がつけない。
◎一方で、本人にとってはとてもつらい状況を引き起こすことがまれではない。

そして、体験は、こちらの動画、
https://youtu.be/6MW04Kfi9oQ
Jリーグ川崎フロンターレ作成の啓発動画

次に、注意欠如多動症(ADHD)の子どもたちの特性ーー
◎しばしば指示に従えなかったり、課題をやり遂げることができないことがあります。
◎やり遂げようという意欲はあり、努力もしているのにできない。

そして、体験は、
日本LD学会が作成した『LD・ADHD等の心理的疑似体験プログラム』から
これは動画ではないので紹介できないけど、同時にいろんなことをするように指示されて混乱するというもの。

最後に、ASDやADHDなどのある人の、限局性学習症と呼ばれる“読み”“書き”“計算”の苦手さーー
◎学習は、子どもにとっても学校生活の中で重要な位置を占めるものです。知的に遅れがないと、学習の特性に気づかれないこともあり、子どもの気持ちに大きな影響を与えます。
◎早めに気が付いて、支援体制を作りたいです。

そして、体験は、文字を読み替えながら(例えば、わ→ね、ね→わ)文章を読む。
読み替えを意識しながら読むので、一文字ずつ読んでいくのに苦労し、読み終わっても全体の意味をつかむことができない体験。

以上、4つの体験プログラムを紹介してくれた。
障害を持つ子の大変さを頭ではわかっていたが、こうして体験してみて、あらためて体の感覚として”わかった”様な気がする。
障害=困難さを抱える子どもたちをこちらに合わせるのではなく、子どもたちの困難さに寄り添って、そこに焦点を合わせて支援を組み立てていく。

「合理的配慮」ということの意味をもう一段深いところで理解できた、とても貴重な体験であった。






Jリーグ川崎フロンターレ作成の啓発動画



みんなで考える

クリニックと小さなはるの風(児童発達支援事業所)合同の研修会を行なった。今年度2回目となる。
講師は、高橋実花先生。

はじめに、支援をしていくときの心構えについて、少しお話をいただく。毎年うかがっている内容ではあるが、新しいスタッフもいるのであらめてお話ししてもらった。何度聞いてもいいお話だと思う。自分たちの見る目が広がってきているので、先生の言われることが心に染み入るようになってきているということもあるのだろう。

事例検討201908291

発達障害といっても、子どもごとにみんな違うので、支援の内容は子どもによって変わっていく。基本的には、子どもに聞きながら、反応を見ながら個別に考えていかなければならない。そうはいっても、理屈が必要、関わるときに基本を持たなければならない。うまくいかなくなったときに、そこに戻ることができる。「理屈が大事、でも現場では子どもにより変わる。現場は大事、でもよってたつ理屈が大事」、こういうバランス感覚が素敵だと思う。

必要なことは、『上手な子育て』より『私らしい子育て』。子育ては’当たり前’で’簡単’なことではない。育てにくい子育てをするとそのことがよくわかる。例えば「スマホ子育て」を一概に否定しない。その親子からスマホを取り上げたら、もっとうまくできなくなる。その家族になじむやり方は何かというところから考える。

一番大切なのは、お母さんの笑顔、それから家族の笑顔、そして子どもの笑顔~お母さんが倒れたら、子育て支援も成り立たなくなる。子どものことは皆が目をかけるけど、養育者のことまでなかなか目が届かない。そして、同時に支援スタッフの笑顔も大事だ。~と話される。たくさんの経験に裏打ちされた重みのある言葉だ。

例年のごとく、後半は事例検討を行った。今回は、参加者をグループ分けして、それぞれのグループで話し合ってそれをまたみんなでシェアしあう。3つの事例、二つはクリニックの事例、一つは小さなはるの風の事例を取り上げた。

事例検討201908292

みんな積極的に参加し、意見を出し合っていた。各グループからの報告を聞いていると、うちのスタッフのレベルがとても上がっているということがよくわかる。どの事例からも、目の前の親子にどう対応するのか?だけではなくて、日頃から何を大切にして親子に接するべきなのか?が浮き彫りにされてきた。事例検討とは、対応策の答えを出すだけではなく、答えに至るまでに何をどう考えていくのか、を大事にしていくものなのだということがよくわかった。

一つの事例で考えたり、学んだりしたことは、次の事例にも応用できる。こうして、私たちのスキルを高めていくことができる。また、スタッフみんなが参加し、一緒に話し合うことで、一致した方針で臨むことができる。さらに、ものの見方、考え方を共有していけるということが、一番の成果なのではないだろうかと思えた。とてもいい事例検討会であった。

障がいのある子どもの保護者と関わる

おなじみの高橋実花先生をお呼びしてのスタッフ向け研修会。
今年度も4回を企画している。その第1回、テーマは「障がいのある子どもの保護者と関わる」

今年は、はるまち館で児童発達支援事業所「小さなはるの風」を開設した。そのスタッフの研修も兼ねている。一番前に陣取っているのが「小さなはるの風」のスタッフ、さすがにやる気まんまん、頼もしい。

2019研修2 2019研修1

お話の中から印象に残ったこと
 ○子どもを支援したいとき、第1に考えたいのは親御さんの笑顔
 ○親御さんは障がいのある子どもの親となることを自ら選んだわけではない
 ○こちらの話を聞いてもらうのはまずよく話を聴いてから
 ○「教える」のではなく「わかってもらう」
 ○保護者も支援の対象である
 ○保護者が攻撃的になったり、投げやりになったりするのには理由がある
 ○「支援者に任せっぱなし」に見える保護者であっても「任せられっぱなし」にはしない

後半は「支援者としての心構え」
 ○支援者が自分の心身の健康状態を管理するのは仕事のうち
 ○相手に感謝してもらうことだけを自分のモチベーションにしない
 ○経験や根性だけで仕事をしない~確かな知識と支援の技術が必要
 ○仕事を一人で抱え込まない

どれをとっても、深くうなづけることばかり。もう何度も実花先生のお話を聞いてきたが、そのたびに感銘を受ける。
あらためて、支援者としての姿勢を正してもらえた気がする。

あるスタッフの感想、「実花先生のお話で心が浄化されました。明日からまたお母さん方にやさしく接することができます」
知識と技術、そして大事なのは体の姿勢。こうして話を聞いているだけで、体がやさしくなるのはとてもすごいことだと思う。



リハビリを学ぶ

この4月から、子どものリハビリテーション【発達支援プログラム】を始めた。このプログラムは、専任の作業療法士と嘱託の言語聴覚士が担当している。

リハビリ(発達支援プログラム)を受ける親子も増えてきたし、クリニックへの問い合わせも増えてきたので、スタッフの認識を深めるために、あらためて、リハビリテーションについて学ぶ機会を持った。

作業療法についてと言語療法について、それぞれお話してもらった。話をするだけではなく、実際にどんなふうにやっているのか?実践も交えて説明してもらった。とても分かりやすく、なるほどそれは大切だよねと共感できるお話であった。
リハ学習会1
リハ学習会2
リハ学習会3

将来を見据えて、今どんな力を子どもたちにつけていくのか?ということををしっかり持ってやっていること、また、ただ教えるのではなく、子どもの興味ややる気を引き出しながら、かつ親ができることを探しながら、ていねいにリハビリを展開していることがわかった。

このお二人は、まさに私たちがやりたい支援をやろうとしている。以前から少しつながりがあったとはいえ、本当によくうちのクリニックに来てくれたと思う。今までの医療、保育に加えて、これから療育にすそ野を広げて、地域での子育て支援の仕事を進めていきたいと思う。
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プロフィール

はる

Author:はる
北海道七飯町で小児科クリニックを経営。子どもたちのこころとからだの豊かな成長を願って、日々の診療、子育て相談、講演会活動を展開している。

名前:高柳滋治
仕事:はるこどもクリニック院長
   病児保育所はるっこ所長
趣味:アドラー心理学を学ぶこと
   草花の写真を撮ること
好きな言葉:
”今日は残りの人生の最初の日”

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